携帯電話やメールは、すでにコミュニケーションの要ですね。私のような年配でもやり取りは携帯のメールやパソコンのメールがほとんどです。いまさらハガキや便箋に手書きをするのはおっくうですし、また電話をするよりメールのほうが気が楽です。でもこのメールには人間関係を危うくする危険がひそんでいます。

人が書く文章には必ず書いているときのその人の感情が入ります。感情が文章に乗るんです。平常の穏やかなときに書いた文章と、気持ちが昂ぶっているときに書いた文章では人の感じ方に大きな違いが出ます。ましてやメールは文章というよりその人の発することばですから、送り手のそのときの感情はもろに相手に伝わりやすいのです。
手紙ですと書こうと思ってから書き出すまでには時間的なゆとりがありました。時には翌日あるいはそれ以降に書くこともしばしばでした。「腹が立つから一筆書いてやろう」と思っても書きたいと思ったときの感情は時間とともにおだやかになってきますし、「ここまで書かなくてもいいか」と理性も働きますので内容はトーンを落としてきます。
メールは感情が昂ぶった時に、すぐ送信することも簡単にできますから、その時の生の感情がすぐに相手に伝わります。送ったあと訂正したいと思ってももう取り返しがつきません。
メールを受け取ったほうは相手の感情をもろに受け、同じように感情を波立たせたり、傷ついたりします。結局一時の感情で相手を敵にまわしたり、仲たがいしたりしかねません。そこのところをよくよく理解してメールのやりとりを行わないと取り返しのつかないことになります。