私たちは何げなくことばを使っていますが、ことばには力があります。それをことばの創化力といいます。言葉と書きますと文字を含んだ用語のイメージがしますので、感情を含んだ想いや、口から発する言葉を "ことば" と書き表すことにします。
暗いことばのひびきは人の心を暗く滅入らせていきますし、明るいことばは人の心を明るくしていきます。

また、ことばの力は心に影響を与えるだけではなく、身体にも影響を与えていきます。私が小さい頃いつも母にガミガミ言われていたため、小学生で胃潰瘍になっていました。つまり、母のことばで私はストレスを起し、身体に影響を及ぼしていたのです。
子どもの夜尿症などもことばと何の関係もないかのように思えますが、父や母のきびしくしつけることばが深く影響している場合があると臨床心理の面からも次第にわかってきています。人のイヤな面ばかり見てそれをことばに出す習慣の人は、痰を吐き出す症状を自分の身体に現すことがあります。これがことばの力です。
またことばは自分の環境にさえも影響を及ぼし、変化させます。
「自分はダメだ」と常に声に出したり、思っていると、そのダメだということばのひびきが自分の心を沈みこませ、「やるぞ」という積極性を失わせます。その結果、自分を取り巻く環境には建設的、創造的な悦びの生活は出てきません。
人を喜ばせたり、明るい笑顔やことばを習慣的に使っている人の人生は、昔から「笑う門には福きたる」と言いますように、明るく悦びに満ちたものになると言われています。
潜在意識に強く印象づけられたことばは、身体にも生活環境にもそれを現し出します。これがことばの創化力です。
ことばは種ですから、潜在意識に入り込んだことばは、条件が整ったときに芽を現します。ことばの種がどういう形をもって、自分の心や身体、環境に現われるかといいますと、『類は類をもって集まる』という心の法則に則って表現されるそうです。
明るいことばは健康的で悦びの環境として、暗いことばは病的で沈みこんだ環境として現われる所以です。特に感謝のことばが最も幸せな環境を創ると言われます。いずれの日にか学問的にもその『心の法則』が詳細に解き明かされることでしょう。